財務諸表ケース【解答】 2026-08-23
昨日のB社ケースの解答です。
結論:M&Aで売上規模と営業利益額は拡大しましたが、現時点で「収益力が改善した」「M&Aは成功した」と断定するのは早いです。
PLでは、売上高は10,000→13,200百万円(+32%)、営業利益は1,000→1,200百万円(+20%)ですが、営業利益率は10.0%→9.1%へ低下しました。増収3,200百万円のうちC社の売上寄与が2,900百万円で、増収の大部分は買収によるものです。既存事業の成長率は+8%→+3%へ鈍化しています。支払利息は80→230百万円に増え、税引前利益は920→970百万円と50百万円しか増えていません。
BSでは、総資産は6,500→9,300百万円。のれん・無形資産は300→3,050百万円、有利子負債は1,600→4,000百万円、現預金は1,800→1,050百万円です。自己資本比率は49.2%→35.5%へ低下しています。簡易的なネット有利子負債は▲200百万円→2,950百万円となり、財務構造は大きく変化しました。
CFでは、営業CFは+900→+1,050百万円で増加しています。一方、投資CFは▲3,750百万円、財務CFは+1,950百万円です。今後重要なのは、C社を含む事業から生まれる営業CFで利息・元本返済・追加投資を継続して賄えるかです。
KPIでは、ROICは11.5%→8.2%へ低下。売上債権回転日数は62日→68日に悪化しています。従業員数は420→590人に増え、一人当たり売上高は約23.8→22.4百万円、一人当たり営業利益は約2.38→2.03百万円となっています。
【問1の答え】
このM&Aを現時点で成功と断定するのは早いです。売上と営業利益額は増えましたが、営業利益率、ROIC、自己資本比率、利息負担、ネット有利子負債、売上債権回転日数、一人当たり生産性などは悪化しています。
【問2の答え】
今後は、C社単体の収益性と営業CF、「3年以内に年間400百万円」のシナジー実現額、クロスセル売上、コスト削減額、統合コスト、ROICと資本コストの比較、借入返済スケジュールと返済余力、のれんの回収可能性、C社顧客継続率、従業員退職率、システム統合進捗などを確認したいところです。
今回のポイントは、M&A後の決算を「売上が増えた」「利益額が増えた」だけで見ないことです。
PLで利益額と利益率を見る → BSで増えた資産・負債を見る → CFで現金創出力を見る → KPIでROICとシナジーの実現度を見る、という順でつなげると、買収後の状態を立体的に確認できます。

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