AI・IT経営ケース 2026-08-18

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今日のAI・IT経営ケース

FAXをなくすのではなく、「FAXの後工程」をAIでなくす

取引先との関係上、FAX注文をすぐに廃止できない企業は少なくありません。そこで現実的なのが、FAXという入口は残しつつ、その後の転記・商品特定・基幹システム入力をAI-OCRで自動化する方法です。

今回は、包装資材・店舗用品を扱うシモジマの実例を取り上げます。

実際にあった業務課題

シモジマでは、受注の一部がFAXで届き、取引先ごとに注文書の形式も異なっていました。商品コードが書かれていない注文書では、担当者が商品を検索して特定する必要があり、単位の読み違いなどによる誤手配も課題でした。

従来型のOCRでは、取引先ごとに異なる帳票への対応が難しく、結局、人が内容を読み取って基幹システムへ入力する作業が残っていました。

使った仕組み

  • 発注書AI-OCR(invox)
  • BtoBプラットフォーム 受発注/受発注ライト(インフォマート)
  • 自社の基幹システム

業務フローはシンプルです。

FAX・PDFで注文書を受信
↓
発注書AI-OCR(invox)が注文内容をデータ化
↓
BtoBプラットフォーム 受発注側へ連携
↓
受注データを基幹システムへ取り込み
↓
担当者は必要な確認・例外処理に集中

ポイントは、「FAXを使う取引先にシステム変更を求めなくても、自社側の受注処理をデジタル化できる」ことです。

公表されている効果

インフォマートが2025年6月に公表した導入事例では、シモジマは全体で月間約3万枚のFAXを受け取り、そのうち4,000〜5,000枚をAI-OCR経由で基幹システムへ取り込んでいました。

その結果、

  • 手作業による入力を大幅に削減
  • 受注処理の作業時間を約半分に短縮
  • 従来3人以上必要だった処理を、実質1〜2人でも対応可能に
  • EDI比率が導入前の70%から80%へ向上

という効果が公表されています。

なお、シモジマ自身のIRサイトでも、このAI-OCR導入事例の掲載実績を確認できます。

この事例から見える実務上のポイント

1. 「紙をなくす」ことを最初の目標にしない

現場のDXでよく起きるのが、「FAXを廃止しよう」と取引先まで巻き込んで大きな改革にしてしまうことです。

この事例では、FAXは残しながら、その後ろにある人手作業をAIに置き換えています。取引先の業務を変えずに、自社の処理だけ改善できるため、導入のハードルを下げやすい方法です。

2. AI-OCR単体ではなく、基幹システムまでつなぐ

文字を読めるだけでは、業務効率化は限定的です。

重要なのは、

読み取り → データ化 → 商品・取引先との紐付け → 受注データ化 → 基幹システム登録

までを一つの流れにすることです。

AIを「便利な読み取りツール」で終わらせず、業務プロセス全体の一部として組み込むことが効果につながります。

3. 100%自動化を最初から狙わない

シモジマは、一部の得意先から段階的にAI-OCRの処理対象を広げています。

実務では、まず件数が多く、書式が比較的安定している取引先から始め、読み取り結果と人の確認結果を蓄積しながら対象を増やす方法が現実的です。

自社で検討するとしたら

FAX、PDF、メール添付などで受け取った情報を、誰かが別のシステムへ手入力している業務が候補です。

たとえば、

  • 注文書 → 販売・受注システム
  • 納品書 → 仕入・在庫システム
  • 見積書 → 案件管理
  • 請求書 → 会計・支払システム
  • 点検票・作業報告書 → 業務管理システム

といった処理です。

AI活用を考えるときは、「どのAIを使うか」より先に、人が同じ情報を何度も読み、転記している場所がどこかを探すと、効果の出やすいテーマを見つけやすくなります。

事実と考察の区分

事実

  • シモジマが「発注書AI-OCR(invox)」を導入していること
  • FAX・PDFの発注書をAI-OCRでデータ化し、BtoBプラットフォームを経由して基幹システムへ取り込む仕組みであること
  • 作業時間半減、処理人数の減少、EDI比率向上などの効果が導入事例として公表されていること

考察

  • FAXそのものを廃止せず「後工程」から自動化する方法は、取引先を巻き込まず導入できるため、多くの企業で検討しやすい
  • AI-OCRは単体導入より、基幹システムまでのデータ連携とセットで設計する方が業務効果を出しやすい
  • 最初から全帳票を対象にせず、処理量の多い業務から段階的に広げる方が運用リスクを抑えやすい

参考情報

株式会社インフォマート「シモジマ、『発注書AI-OCR(invox)』導入で手入力をなくし、受注業務にかかる時間を半減」(2025年6月10日)
https://corp.infomart.co.jp/news/20250610_5903/

株式会社シモジマ IR・メディア掲載情報
https://www.shimojima.co.jp/ir/media-info.html

フーズチャネル「FAX注文書の転記作業を解消!資材商社・メーカー5社のAI-OCRによる業務革新」(2026年8月5日)
https://foods-ch.infomart.co.jp/knowledge/seller/315967

 

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